エデンより彼方に
テーマ:エンタメ
2009年04月21日 00時47分

トッド・ヘインズ監督の「エデンより彼方に」を見ていない人にとってこの作品は、単なる1950年代の古いメロドラマの焼き直しのような作品だと思われているかもしれない。しかし、「SAFE」や「ベルベット・ゴールドマイン」でのヘインズの仕事ぶりを知っている人は、なぜこの時期にヘインズが1950年代のメロドラマを再現しようとしたのかということのほうに興味を持ち、きっとこの作品を見ただろう。わたしも、その中のひとりである。
そんなまわりくどい説明をしなくても、この「FAR FROM HEAVEN」が受賞した映画賞の数やアカデミー賞4部門ノミネートという実績を見れば、この作品の完成度の高さは想像がつくと思う。
演出スタイルや音楽、美術のすばらしさは、メールマガジンでも紹介しているが、この作品のもうひとつの見どころは、役者の演技である。メインとなる3人の演技は、ほぼパーフェクトであり、微妙で複雑な心理を見事に表現している。特にもっとも難易度の高い演技を要求されたデニス・クエイドの演技は圧巻である。また、心優しき黒人庭師を演じた「24」でもおなじみの俳優デニス・ヘイスバートの演技もジェントルで存在感があった。もちろん、ジュリアン・ムーアの演技も申し分ない。
脚本、演出、美術、音楽、役者の演技、それらすべてのレベルが高すぎると映画としては、逆に地味に見えてくることもある。全体のバランスがよすぎるため、印象が薄くなるということかもしれません。しかし、この「エデンより彼方に」を見た人は、この作品のもつ風格の高さや美しさとでもいうべき完成度の高さに、あとでだんだん気がついていくかと思います。物語に感動できた人は、DVDのメイキングやインタビューを是非一度ご覧下さい。感動を作りだす裏側にどんな秘密が隠されているのか理解できるかと思います。 (2004.06.11 Friday)
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